Tydal Creek Campsite to Guitar lake: 11 mile
今朝はそれほど厳しい冷え込みもなく、穏やかな目覚めだった。 今夜の目的地であるGuitar Lake(ギター・レイク)までは地図上では11マイルなので、ここ数日の過酷な行程に比べれば距離も短く、峠越えもないため、精神的にもかなり気が楽だった。時計の針が8時を回った頃、心地よい余裕を感じながらキャンプサイトを出発した。


ルート上には多少のアップダウンがあったが、昨日までのような急峻なパスはない。それでも、登りに差し掛かると足に力が入らないのを感じ、自らの体力の低下を痛感させられた。もし今日、さらに12,000フィート級の峠が控えていたとしたら、一体どうなっていただろう。本当に、昨日のForester Passが最後の大きな関門で良かったと、胸をなでおろした。
歩みを進めるうちに、セコイアの高山帯に広がる森林の美しさに目を奪われた。標高10,000フィート(約3,048m)を超えるような、およそ植物には過酷なはずの森林限界とされるような高地にも、息を呑むほど立派で生命力に満ちた木々が堂々とそびえ立っている。そんなシエラの自然の奥深さに、改めて畏敬の念を抱かずにはいられなかった。



不思議と、このエリアに足を踏み入れた瞬間、言葉では説明できないような神聖な空気に包まれる感覚があった。目の前に広がる景色の一つひとつがやたらと神々しく、どこか現実離れした美しさを放っているように見えたのだった。シエラの広大な山域を歩いていると、理屈を超えて圧倒されるような「特別な力」を感じる場所に出会うことがあるが、ここセコイアの地には、特にその感覚を強く抱かせる何かがある。有名なジャイアント・フォレストを訪れた際にも同じような圧倒されるほどの畏敬の念を覚えたが、この場所もまた、特殊な神秘的なエネルギーに満ちているように思えてならなかった。


今日の気候はカラリと乾燥して暖かく、どこまでも高い青空に白い雲が美しく映えていた。連日の極寒が嘘のように心地よく、日中は久しぶりにシャツ1枚と半ズボンでトレイルを楽しんだ。
今夜の幕営地である標高11,486フィートのGuitar Lakeを目指して高度を上げていくにつれ、周囲の景色はドラマチックにその表情を変え、より一層輝きを増していく。




そして辿り着いたGuitar Lake周辺は、まさに言葉を失うほどの超絶景だった。 その名の通り、上空から見るとギターの形をしたこの美しい湖のほとりに、予定通りテントを設営したが、振り返ってみても、今回の全行程の中でトップクラスに美しく、ドラマチックなキャンプスポットだと確信できた。
明日のMt. Whitney(ホイットニー山)へのアタックを前に、実質的には今日が最後のトレッキング日。暖かな太陽に包まれ、この上なく美しい景色の中を歩けたことは、最高のプレゼントのようだった。
テントの傍らに寝転がり、静かに暮れゆくシエラの山々を見つめる。




ついに、明日、Mt. Whitneyの頂に立つが、夢にまで見たジョン・ミューア・トレイルの旅も、泣いても笑っても、明日が実質上の最終日なのだと実感した。
20日前にヨセミテを出発した時の緊張感、重いザックに苦しんだ日々、凍えるような極寒の夜、そして限界を超えかけた数々の峠……そのすべてが走馬灯のように脳裏を駆け巡り、胸の奥から熱い感情が次から次へと込み上げてきた。
この静かな夜が明ければ、いよいよ最後の登りだ。これまで歩んできた1本の道を信じて、明日、最高峰の頂へ向かう。



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