Distance: 12 miles (approx. 19.3 km)
昨夜から今朝にかけての寒さは、これまでの行程で一番だったと感じた。朝方温度計を見ると27°F だった。シュラフ(寝袋)の中にライナーを入れ、さらにシュラフカバーを掛け、服を着込んでもなお寒さで夜中に何度も目が覚めたわけだ。朝になってもシュラフから出る勇気が持てず、結局6時半まで丸まっていた。この旅に選んだウエスタンマウンテニアリングのシュラフはシエラのショルダーシーズンだとギリギリだなと感じた。着こんで入れば何とかなったので良いが、これより軽いシュラフにしようとも検討していたので、辞めておいて良かったと思った。
太陽は昇ったものの、昨日以上に冷え込みが厳しかったため、今日は長ズボンにフリースを着込んでの出発となった。しかし、森を抜けて高度を上げるにつれ、その寒さを忘れるほどの景色が目の前に現れ始めた。
今日のハイライト、Evolution Lake周辺からMuir Pass(標高3,644m)までの道のりは、言葉を失うほどの絶景だった。自分の中では、この旅で今のところ最高の体験だと思った。
森林限界を超え、遮るもののない高地。低い気温と吹きつける風の中、陽光に照らされた岩と湖のコントラスト。そのあまりの美しさに、歩きながらひたすら気分が高揚していった。 「これこそがクラシック・シエラだ」 そう確信させる典型的な絶景の中を、私はかつてないほど「ハイ」な状態で突き進んだが、このエリアは特に、異世界を歩いているような感覚に陥った。







Muir Passへ辿り着いたのは17時半だった。夕刻の光に照らされた峠は神々しかった。 そこから先はひたすら下り道だったが、延々と続くガレ場(岩場)に苦戦した。なかなかテントを張れる平坦な場所が見つからず、ようやくキャンプスポットを見つけて設営を終えたときには、夜の19時を回り、あたりはすっかり暗くなっていた。
JMTの旅が始まって、ついに2週間が経った。 毎日を必死に、夢中で進んでいるせいか、そんなに月日が流れたという感覚がない。 特にKings Canyonに入ってからは、身体に蓄積した疲労や脚の痛みさえも、どこか遠いことのように感じる。それどころか、スルーハイク特有のこの「キツさ」そのものが、一種の快感として心に響き始めていた。
肉体の限界を超えた先にある、精神の純化。その真っ只中にいる自分を感じた一日だった。














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